面積比の教え方のコツ
面積比は、ご家庭で教えると話がかみ合わなくなりやすい単元です。親は解説を読めばわかるのに、子どもに説明するとうまく伝わりません。原因の多くは理解力ではなく、図の上で情報が混ざってしまうことにあります。図と記号の使い方を決めれば、面積比は手順で取れる単元になります。
なぜ面積比は家庭で教えにくいのか
面積比の問題は、段階がたくさんあります。辺の比を読み、それを三角形の面積の比に移し、全体に対してどれだけかを求めます。
大人は途中を頭の中で飛ばせます。でも子どもは、一段進むごとに覚えておく数字が増えていきます。親と子で、見ている階段の高さが違うのです。
もう一つ、手が止まりやすい場面があります。途中で分数が出てきたときです。三角形の面積を比で表すと分数になり、「こんな半端な数は間違いだ」と思って止まってしまう。実際には計算は合っていて、そのまま進めれば答えに届いていた、ということがよくあります。
わからないから止まるのではありません。自分の計算を信じてよいかわからず、止まってしまうのです。
教えるときの4つのポイント
図を大きく描き直す
問題の図は小さく、比を書き込む余白がありません。ノートの半分くらいの大きさで描き直してもらいましょう。図が大きければ、求めた比をその場で書き込めます。頭の中に置いておく数字が減るので、ミスも減ります。
線分比は丸、面積比は四角で書き分ける
同じ「2」でも、長さの2なのか、広さの2なのかで意味がまったく違います。そこで、辺の長さの比は数字を丸で囲み、面積の比は数字を四角で囲んで三角形の中に書きます。引き出しにラベルを貼るようなもので、あとで見返したとき、何の数字かがひと目でわかります。
同じ辺が、場面によって「5」と「7」のように別の数で表されることもあります。これは同じ長さを別の物差しで測っただけで、どちらも正しい数です。片方を丸、もう片方をひし形にして書き分け、最小公倍数の35にそろえれば、同じ物差しで話せます。
全体を1と置く
全体を具体的な数で置こうとすると、「きりのよい数」を探す手間が増えます。全体を1と置けば、どの問題も同じ手順で進められます。
たとえば三角形ABCで、AD:DB=2:1、AE:EC=3:5のとき、ADはABの2/3、AEはACの3/8です。2/3×3/8=1/4なので、三角形ADEは三角形ABCの1/4です。
途中の分数は「間違いのサイン」ではない
中学受験の図形では、途中は分数になり、最後に整数の比になることがよくあります。途中で分数を消そうと通分や約分をくり返すと、かえってミスが増えます。分数は、最後に一度だけ、全体に同じ数をかけて消せば大丈夫です。お子さんの手が止まったら、「そのままで大丈夫」と声をかけてあげてください。
例題で手順をたどる
三角形ABCの辺BC上に点Dがあり、BD:DC=2:3です。線分AD上に点Eがあり、AE:ED=1:4です。三角形ABE、三角形EBD、三角形ADCの面積の比を求めます。
まず大きい三角形から区切る
三角形ABDと三角形ADCは、頂点Aからの高さが同じです。だから面積の比は、底辺の比と同じ2:3です。小さい三角形から見ず、大きい三角形から順に区切るのがコツです。
分数が出ても、そのまま進める
三角形ABDを四角の2とします。AE:ED=1:4なので、三角形ABEは2×1/5=2/5、三角形EBDは2×4/5=8/5です。分数が出ましたが、これで正しい道の途中です。
最後に同じ数をかけて、確かめる
2/5:8/5:3の全部に5をかけると、2:8:15になります。確かめも簡単です。2+8=10なので、10:15=2:3。最初のBD:DCと同じになりました。
ご家庭での進め方
- 丸つけの前に、図と記号を見る。図が大きく描き直されているか、丸と四角が書き分けられているかを確かめます。親が解説する必要はありません。
- 答えが合っていても、図に作業が残っていなければ、次も解けるとは限りません。答えが違っても、図が残っていれば本人がまちがいを探せます。
- 途中の数字は、必ず図に書き込ませる。図そのものが計算用紙です。
- 「1:1.5:1.5」のような小数の比が出たら、2倍して「2:3:3」のように整数に直す習慣をつけます。
- 忘れそうな解き方だけを、まとめノートに1問ずつ残します。模試や入試の前に見返す、自分専用の地図になります。
志望校の問題に合わせた図形の対策は、算数の志望校対策(一般入試)でもご案内しています。
もとの記事
この記事は、noteに書いた記事をもとにまとめ直したものです。
ご相談
お子さんの答案やテストがあれば、どこで点を落としているのかを一緒に探します。初回のご相談は無料です。