場合の数は、計算より先に「枝」を描く
場合の数を教えるとき、「5×4×3×2×1」のような計算から入っていませんか。たしかに、計算で答えは出ます。でも、計算だけを覚えた子は、問題の条件が少し変わるとすぐに手が止まります。遠回りに見えても、樹形図から始めるのがいちばんの近道です。
計算だけで教えると、どこでつまずくか
条件がつくと、かけ算が使えなくなる
たとえば、同じ数字のカードがまざっている問題です。1、1、2、3、4の5枚を並べるとき、「5×4×3×2×1=120通り」とすると数えすぎになります。1のカードが2枚あるので、同じ並びを2回ずつ数えているからです。正しくは120÷2=60通りです。
「0をふくむカードで3けたの数を作る」「となり合ってはいけない」なども同じです。かけ算をそのまま使うと、答えがずれます。
「型」を覚える方法の落とし穴
そこで、問題の型ごとに解き方を覚えさせる方法があります。一見、効率がよさそうです。
けれども、子どもにとって本当に難しいのは、解き方を覚えることではありません。目の前の問題が「どの型か」を見分けることです。しかも型ごとの解き方は、抽象的な計算です。見分けにくい型を、抽象的な式とセットで覚える。これは子どもにとって大きな負担になります。
樹形図から教える3つのポイント
1. 樹形図をよどみなく書けるようにする
まずは、手が止まらずに枝を書けることが土台です。小さい数字から順に書く、と決めておくだけで、書き落としや重なりがぐっと減ります。
2. 計算は「樹形図をまとめたもの」と分かる
かけ算は、枝の本数をまとめて数えるための近道です。同じカードがある問題で割り算をするのも、樹形図を見れば「同じ枝が2本ずつある」と目で分かります。式の意味が、図とつながります。
3. 枝の本数がそろうかで、方法を選ぶ
どの分かれ道でも枝の本数が同じなら、計算で近道してかまいません。本数がばらばらなら、場合を分けて数えます。
たとえば1、1、1、2、3から3けたの数を作る問題では、枝が3本のところ、2本のところ、1本のところがまざります。だから、かけ算1回では数えられません。樹形図を描ける子は、ここに自分で気づけます。
書き出しを面倒がる子には
場合の数でつまずくのは、理解力が足りないからではありません。頭の中だけで条件を覚えきれず、数え漏れや数えすぎが起きるからです。ですから、説明を増やすより「書く場所」を増やすほうが効きます。
まず書かせて、あとで直す
説明の前に、式でも図でも、思いついた並びでもよいので紙に書かせます。うまくいっている部分を先にほめて、直すのはそのあとです。
小さい数で試す
大きな問題は、まず数を小さくして書き出します。たとえば0、1、2、3から3けたの数を作るなら、百の位が1の枝だけを書きます。すると6通り。百の位が2や3のときも同じ形なので、6×3=18通りと分かります。樹形図は、書き方しだいで時間のかかる方法ではなくなります。
「次は1回で正解する手順」を言葉にする
「気をつける」「集中する」は手順ではありません。「問題文の条件に線を引く」「0も数に入れたか確かめる」など、鉛筆で実行できる形にします。
ご家庭での進め方
- 宿題から、場合の数を1問だけ選びます。
- 小さい数字から順に樹形図を書かせます。
- 計算で解ける基本問題も、一度は樹形図を全部書いて、答えが合うか確かめます。
- 慣れたら、最初の枝1本分だけ書いて、同じ形の数をかけて求めます。
- 声かけは「何から書いてみる?」「小さい数だとどうなる?」「別の方法で確かめられそう?」の3つにしぼります。
- 解き終わったら、正解するための手順を一行で書かせ、解き直しノートの最初のページに貼ります。
親が上手に説明することより、お子さんが考えを紙に出せる場をつくることが大切です。樹形図は、入試まで使える「数え方の土台」になります。志望校の出題に合わせた対策は、算数の志望校対策(一般入試)でも紹介しています。
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この記事は、noteに書いた記事をもとにまとめ直したものです。
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